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訴訟の意義について語る木村草太教授(右から2人目)と原告2人(左)ら=2024年11月17日、札幌市北区、上保晃平撮影

 首相演説にヤジを飛ばした市民を道警が排除したのは、憲法が保障する「表現の自由」の侵害にあたるとする判決が確定したことを受け、原告ら有志でつくる「ヤジポイの会」が17日、札幌市北区で最終報告集会を開いた。憲法学者や原告らが訴訟の意義を語った。

 最高裁で確定した判決は、原告の桃井希生さん(29)の排除について道警の対応を違法と認定。道に賠償を命じた。一方、原告男性(36)については、大声に立腹した聴衆とトラブルになる危険性があったなどとして、警察官の行為を適法と判断して請求を退けた。

 この日は、東京都立大の木村草太教授(憲法学)がゲストとして登壇。「表現の自由は、行使する人自身にとって価値があるだけでなく、他の人に気づきを与えるなど社会の意思決定を豊かにする面もあるため、手厚く保護されなければならない」と話した。

 判決については「男性の行為が違法と認定されたわけではない」と指摘。他の聴衆とのトラブルの危険があったとしても、「いきなり警察が介入するのではなく、まずは当事者間で調整されるべきだった」とし、表現行為を萎縮しないことの重要性を訴えた。

 桃井さんは「ヤジも言えない社会ではいけないと思い提訴した。多くの人が支援してくれて安心した」。男性は「排除されたことによって、むしろ自分たちの声が拡散された。ヤジを飛ばす権利も認められ、裁判をやってよかった」と振り返った。(上保晃平)

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